追手門学院大学様

WebClassの利用率を上げるための取り組み(タブレット版画面の開発・OCRとの連携)

追手門学院大学の正門からまっすぐ続く道の脇には、緑色がまぶしい広大なグラウンドがあり、つねに学生達の力強い声が響きます。キャンパス内には追手門学院大学の一期生であり、芥川賞作家である宮本輝氏の心に残る言葉がそこここに掲げられ、力強くものびのびとした学生達の雰囲気が感じられる大学です。

2015年4月より本格稼働したWebClassの導入経緯について、リプレース検討プロジェクトの委員でいらっしゃった経営学部教授の原田先生にお話しを伺いました。

いかに利用率を上げるか
これまでも学内にはいくつかe-learningとして利用できるシステムが稼働していましたが、それほど利用率が高くありませんでした。大人数講義を担当されている先生が「授業中に感想を書かせたり、課題をさせたりしたのを返却するのが大変だ」ということをよく口にされていました。これを何とかすれば、より多くの先生に利用して頂けるのではないかという発想でリプレースの検討をはじめました。

いつでも,どこでも,どんなOSでも
リプレース検討プロジェクトと総合情報センター(現,情報メディア課)では多くの先生に利用して頂くため「いつでも、どこでも、どんなOSでも」をキーワードに実現したい機能をまとめました。例えば学生は、最寄り駅から大学までスクールバスで移動します。渋滞がひどいときには1時間近くバスに乗っていることもあり、この時間を学習に使えたらいいのにという意見がありました。今回、スマホ対応にこだわったのは、通常講義での利用目的に併せて、バス通学時間の有効利用を促進するという目的もあったのです。
教員側の画面にもこだわりました。学生の教育に積極的な教員向けの、授業中と授業時間外両方で手軽に使え、タブレットを使って教材の準備ができるようなLMSがあればよい、とずっと思っていました。

タブレット版画面を共同研究で実現
リプレース検討プロジェクトと情報メディア課の会議には日本データパシフィック(株)にも参加してもらい、WebClassの標準的なインターフェイスと追手門学院大学が望むインターフェイスのギャップを埋めるべく検討を重ねました。
ちょうどアクティブラーニングが脚光を浴びてきた時期でしたが、教員が授業中にちょっとしたアンケートをとることができるクリッカー機能や、学生が授業中に気軽に発言できるLINE[*1][風のチャット画面が必要でした。
打合せの結果、WebClassに「タブレット版」の画面を新規に追加することになりました。
タブレット版の開発は、現場の意見を反映させるため、日本データパシフィック(株)と追手門学院大学の教員(原田章、杤尾真一、岩渕亜希子、荒井崇史)による共同研究としました。

OCRとの連携

私自身も受講者数が100名の講義で学生に課題を与え、その答案用紙を集めて出席番号順に並べて提出したかどうかを管理するということをやっていたのですが、とても時間がかかっていました。私立文系大学では大講義での授業が避けて通れず、教員がよい授業をしようとすればするほど、単純作業が増えるという悪循環になっていたのです。そこで今回のシステム更新ではOCR読み取り装置を導入して学籍番号を読み取ってWebClassに取り込む仕組みを(株)ニッセイコムと一緒に構築することにしました。(株)日立製作所のOCR装置に、追手門学院大学向けにカスタマイズした読み取りプログラムを作成し、追手門学院大学独自の書式が使えるようにしました。OCRとWebClassの連携により、幅広い授業でレポートを電子化して保存でき、将来のeポートフォリオの充実にも繋がるものとなっています。

文系のためのLMSを追求する
最近の学生は授業中に挙手をして発言する事が少ないと言われています。そこで学生が気軽に書き込みができる「タイムライン機能」を中心に考えました。タイムラインには学生からの質問だけでなく、教員からの連絡や指示を時系列に表示できるようにしました。学生はWiFi経由でスマートフォンやタブレットからもアクセスできます。またタイムライン上に資料を置いたり、クリッカー機能で簡易アンケートを取ることもできます。
教員側のメリットは、レポートの採点をタブレット上で簡単にできるという点です。OCRで取り込んだレポートはPDF化されてWebClassに取り込まれます。教員はタブレットがあれば指先の操作だけでレポートの確認や採点ができるようになりました。私は学生に提出させるレポートは全てPDF形式を指定していますので、隙間時間を利用して効率的に採点ができるようになりました。
共同研究は2015年度も継続して行います。機能を増やすと使いにくくなりますので「文系のためのLMS」を念頭に置きながらより使いやすくしていきたいと思います。

  • タイムラインには、先生からの指示や学生からの質問が並びます。

  • グループ毎に相談できるチャットが利用できます。

  • PDFのレポートを表示しながら採点ができます。

共同研究の成果である「タブレット版」画面は2015年3月にリリースされたWebClassの春バージョンに標準機能として搭載され、全国のユーザでご利用頂けるようになりました。


[*1] LINEは、LINE株式会社の商標または登録商標です。


※ 掲載内容は2018年5月現在のものです。